第3回CLDA

受賞作品

銀賞

こだまブロック

―ある地下歩道を歩いていたとき、白杖を頼りに歩く人を見かけた。彼は点字ブロックを使って進んでいた。当時地下歩道はかなり混雑していた。彼のすぐ前に歩いていた人は気づく様子もない。案の定ぶつかりそうになり声をかけたが、その先もそのまた先も人で溢れていた。埒が明かなかった。―

この実体験を元に、視覚障碍者の存在を周知させることができないかと考えた。そこで、白杖とぶつかり合うことで音の鳴る「こだまブロック」を提案する。こだまブロックは、金属音のように高く、風鈴のように柔らかで快適な音を響かせる。形状は波のように膨らむ三次元曲面をしており、素材は半磁器質でできている。そのため、これまでの点字ブロックの諸課題をも解決する。

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荻原 悠真 Yuma Ogiwara

  • 1997年生まれ
  • 学生
  • 北海道大学工学部環境社会学科建築都市コース4年
  • 群馬県

審査員コメント

点字ブロックは都市や公共建物において、義務的な配置とも見えることがある。視覚障害者にとって、杖や足の裏からのインフォメーションはとても重要だが、健常者や車椅子の都市利用者への配慮する余地があるとしたら、それが解決できれば素晴らしいユニバーサルデザインと言える。こだまブロックは、緩やかな曲線と起伏をつかって、直進を支持しているが、人の動きのしなやかさと連動している。また、杖とセラミックスの音による周知を促すことも優しい都市のノイズとなるであろう。都市のデザインは、街路樹や公共サインの役割は大きいが、都市の特徴を醸しているものは、人や車、道路などの素材ともいえる。ありふれたモノのデザインこそ、都市の固有性を高めると思う。

浅井裕雄