第3回CLDA

受賞作品

銀賞

TUKUROI

イギリスが発祥と言われている陶磁製の貯金箱。
本体を破壊しなければ中のお金を取り出せない構造のものがよくあります。
中身を取り出すために破壊した本体は修復されること無く破棄されてしまいます。
そんな陶磁製の貯金箱が日本の修復技術である「金継ぎ」と出会うことで新たなオブジェとして生まれ変わります。
この『TUKUROI』は陶磁製の貯金箱と同じ要領で貯金をし、中身を取り出すために本体を破壊します。そして、取り出したお金を使い本体を金継ぎで修復することでオブジェとして完成するという一連の流れを提案するプロダクトです。

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和三田 真奈 Mana Wasada

  • 1997年生まれ
  • アルバイト
  • 穴吹デザイン専門学校 卒業
  • 広島県

審査員コメント

お金の価値と、陶磁器を割ることの意味に心が揺さぶられた提案でした。従来であれば、愛しいブタの貯金箱にお金を貯めて、お金がたまったら割って取り出すという行為です。それを、この提案では、貯金箱の形状をシンプルな掌サイズの球形にすることで各産地の陶磁器や釉薬の質感だけを象徴的に感じさせ愛着を持たせた上で、自分で潔く割ることにしています。そして、割れたものを、貯まったお金で金継ぎして、あらたな価値に生み出す仕組みです。日々のお金を貯める行為と、一瞬の破壊、そして、新たな価値としての再生。割れるセラミックという素材ならではの不思議な体験との出会いがそこにあります。

萩原修