第1回CLDA
受賞作品
入選
musee
「卓上の美術館」
私たちは日々の暮らしの中で、思いがけない美しいものに出会う時がある。
道ばたの花、河原の石、卵、りんご、桜貝、くしゃっと丸めた紙さえも人によっては美しく思い、大切にとっておきたくなることがあるだろう。
そんな日常に見つけた些細な喜びを、ゲストに紹介したいときや、居住空間に飾っておきたいとき、この照明を灯せば、卓上に展示空間としての空気が生まれる。
セラミックの二重の輪で構成されたこの照明は、外側の輪に光源が、内側の輪には二つの穴があいている。
手前を照らすスポット光から、輪の内側全体を照らす全光まで、任意の光になるまでゆっくりとずらすことでアナログなスイッチの役割を果たしている。
二つの重たい輪をそっと動かし、光をそそがせたり、包み込ませたり。
まるで小さな美術館のように、ものを美しく照らす。
くらしを彩るあかりとは、人の人生の彩りをささやかに照らす、あたたかなひかりなのではないだろうか。